
近年、日本企業の多くが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組んでいます。しかし、単なるIT導入や効率化にとどまるケースも多く、「本質的な企業変革」に結びつかないという課題が残っています。こうした中、DXを支援するコンサルタント資格にも変化の波が訪れています。では、今後どのような資格が成長していくのでしょうか。
1. 従来型資格が直面する限界
これまで国家資格の経営コンサルタントや情報処理資格者やまたは民間ITコンサルタント資格者、そしてITベンダーやSireが、企業支援やIT活用の専門家として評価されてきました。しかし近年、次のような課題が指摘されています。
・IT導入支援に偏重し、AIやIoT、ロボティクスといった先端技術を十分にカバーできていない
・資格保有者の平均年齢が高く、新しいデジタルスキル習得のスピードが遅い
・経営戦略とテクノロジーを一体化した提案力が不足している
つまり、従来型の「知識証明型資格」だけでは、急速に変化するDX時代の要請に応えられなくなっているのです。
2. 今後成長が期待される資格の方向性
今後成長する資格には、いくつかの共通点があります。
(1) AI・IoT・ロボティクスに対応した実践資格
生成AIやIoTデバイス、ロボティクス・オートメーションは、単なる業務効率化ではなく労働力不足や生産性低下といった社会課題の解決につながります。これらを実際の企業現場に導入・定着させるスキルを認定する資格は、確実に需要が高まります。
例:認定AI・IoTコンサルタント(AIC)、認定ロボティクス・オートメーションディレクター(RAD)やプロデューサー(RAP)など
(2) 「経営×技術」を橋渡しできる資格
経営戦略を理解しつつ、具体的な技術選定や導入計画まで支援できる人材が求められています。経営者にとって「技術用語を噛み砕いて伝えられるコンサルタント」は信頼性が高く、その育成を目指す資格は成長が見込まれます。
(3) グローバル基準・国際展開を意識した資格
DXは国内だけのテーマではありません。サプライチェーン、製造現場、海外展開と密接に結びついており、国際的に通用する知識体系やフレームワークを持った資格が選ばれる傾向にあります。
3. 成長する背景
こうした資格が成長する背景には、社会と企業の環境変化があります。
・少子高齢化による人材不足
特に中小企業では、人手不足をテクノロジーで補う必要性が急速に高まっています。
・生成AIの急速な普及
ChatGPTをはじめとする生成AIは業務効率化の象徴となり、従来型IT資格の存在感を一気に薄めました。AIを実務に組み込める人材の育成は必須です。
・産業構造の転換
製造、物流、小売、サービスといった幅広い分野で、IoT・ロボティクスを軸にした自動化・効率化が求められています。従来の「改善」ではなく「変革」を推進できる専門家が不可欠です。
4. 今後の展望
日本におけるDXコンサルタント資格は、「知識偏重型」から「実践支援型」へと進化していくでしょう。また事務効率のためのITを導入するだけではなく、企業の競争力強化と持続的成長を実現できる人材を認定する資格こそ、今後飛躍的に需要が高まります。
認定AI・IoTコンサルタント(AIC)、認定ロボティクス・オートメーションディレクター(RAD)やプロデューサー(RAP)を代表とするAI・IoT・ロボティクスに対応した資格を持つ人材は、単なるコンサルタントではなく「企業改革のパートナー」として位置づけられ、企業から強く求められるでしょう。
まとめ
これから成長するDX関連資格は、AI・IoT・ロボティクスを実務に落とし込み、経営と技術をつなぐ力を証明する資格です。少子高齢化や人材不足、国際競争の激化といった日本社会の課題を解決するためにも、従来型資格からのシフトが進むことは間違いありません。
DX時代に求められるのは、「資格を持っている」ことよりも「資格を通じてどのように企業を変革できるか」です。その意味で、実践的かつ未来志向の資格が、これからの日本において大きく成長していくと考えられます。
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