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DXの未来とその対応を考察

DX(デジタルトランスフォーメーション)が一種のブームとなり、既に何年が経ったのか考えてみましょう。

 

日本でDXブームが始まったのはおそらく経済産業省の「2025年の崖」という提言からだったのではないでしょうか。また、その後に経済産業省と東京証券取引所などによるDX銘柄の認定もブームを後押ししました。

 

「2025年の崖」は当時、日本の大企業に大きな課題を突き付けました。それは、社内のITの保守運用費が増加し、新たなイノベーションのためのIT化につながらないというものでした。これによって、国際競争力にも劣る状況が生じてしまいました。

 

そのため、企業が生き残るか衰退してしまうかを左右するためには、デジタル(D)を活用してトランスフォーメーション(T=X)を実施する必要があります。これが「2025年の崖」という提言の要旨です。

 

その後、DXという言葉が一気にブームとなりました。大企業はAI、IoT、ロボテックス、VR、MR、ドローンなどの最先端技術を取り入れ、企業変革を進めました。経済産業省は中小企業にもDXが必須であることを伝えましたが、それ以上に敏感に反応したのは中小企業向けのITベンダーでした。

 

しかし、DXの真の手法を持たない中小企業がいくらITを導入しても、DXにはなり得ません。それに気付かずにITベンダーの提案に乗り、ITを導入した結果、現在では不良資産化したり、過剰な投資になり運用費が増大してしまったりする事態が起きています。

 

このような状況が続き、現在、残念ながら、大企業の中にはDXの成果が直接、業績に反映されない企業も増えており、表向きはDXの言葉が乱立してますが、実際は大企業も中小企業も含めてDXのブームが次第に収束してきています。

 

今後、DXは短くても3年程度、長くても5年程度で新たなバズワードが生まれるかもしれませんね。

 

しかし、もともとDXについてしっかりと語ることができる人々や、支援できる団体は存在しているのでしょうか?AI・IoT普及推進協会やその資格保有者は、少なくともDXの実現のためにX(トランスフォーメーション)を目的にD(デジタル)をDX実行計画書をまとめ、現場の身の丈で指導する立場にあることを自負しています。

 

今後は、DX応援隊で全国を網羅し、各地域の中小企業支援団体、ITベンダー、中小企業、金融機関、AIPA認定AI・IoTコンサルタント(AIC)と連携し、真のDXの普及と推進に取り組む予定です。

 

真のDXとは一体何でしょうか?AI・IoT普及推進協会や支援者たちもまだ模索中ですが、決してD(デジタル)を目的としたX(トランスフォーメーション)ではなく、Xを達成するためにDを導入し、成果を上げることを支援できる団体でありたいと考えています。

 

(本文執筆)

一般社団法人AI・IoT普及推進協会

代表理事 阿部 満